固有マイマイLINEスタンプできました!

小笠原事務所では、小笠原固有のマイマイを守っていくために、
たくさんの島民スタッフが日々マイマイの保護繁殖をしてくれています。

そんな島民スタッフの一人、Aiちゃんがなんと小笠原固有マイマイのLINEスタンプをつくりました!
なんてコアなニーズのスタンプ…笑

でもでも、とっても可愛くて、私はかなりの高頻度で使っています♪

カタツムリ好きでも何でもなかったスタッフさんが、固有マイマイを貴重な存在と感じ、マイマイ愛にあふれ伝わってくる…うれしい限りです。

絶滅危惧種となり、父島では身近でなくなってしまった固有マイマイたちがいること、
島民スタッフがそのマイマイを絶滅から救おうと奮闘していること、
こういった形から、少しずつ島に住む色んな人たちに伝わっていくといいなと思いました。

記事担当:小笠原事務所 涌井茜


唯一の固有淡水魚

オガサワラヨシノボリ

愛嬌のある顔つきで河川を泳ぐこの魚は、オガサワラヨシノボリという。2011年に新種記載された、小笠原唯一の固有淡水魚である。

特徴的な赤い斑紋は、闘争による興奮や求愛行動などでより鮮やかに彩られる。
孵化仔魚は降海し、成長して遡上する。しかし、近年の小雨化による渇水が、河川と海域が分断されてしまう河口閉塞の長期化を助長する一つの要因になっており、海と川の行き来が欠かせないこの魚にとって、大きな問題となっているようだ。

河川の僅かな溜まりを覗くと、砂埃を上げて岩陰に隠れる本種を見かけることがあるが、
力強く生きている姿に思わず応援したくなってしまう。

・オガサワラヨシノボリ Rhinogobius ogasawaraensis


担当:小山田


ヤマダ?カワダ?サワダ!

カブトムシ、ダンゴムシ、スズムシ、など幼少のころから親しむ「ムシ」であれば、なんとなくその姿を想像できると思います。

一方、小笠原固有の「ムシ」には想像もつかない名前のものもいます。

サ・ワ・ダ・ムシ。

サワダムシ

 

これが、サワダムシです。

クモのような、シロアリのような、ゴ●ブリのような
なんとも言えない体つき。

分類としてはヤイトムシの仲間(ヤイトムシすらイメージがわかないですね)で
クモやサソリモドキに近い仲間なのですが、兜虫、団子虫、鈴虫などその形や行動からつく名前ではなく、第一発見者の沢田秀三郎さんから名前をいただいてしまって、そのまんま「沢田虫」となったようです。

 

 

クモのように牙のような挟角はありますが毒は持たず、ただ餌となる虫を挟みこんだまま直接むさぼるようです。
また、オスは写真のように尾部に妙な丸い突起を持っています。
他のヤイトムシの仲間ではこの突起を求愛行動のときにぴょこぴょこ動かしてメスの気を引き、つかませるために使用するようです。
成功してタンデムになると、オスが地面に置いた精包をメスが腹部で回収し、受精となります。

名前も生態も変わっている、小笠原固有の土壌生物です。

体長1cmにも満たない小さなハンターは父島、母島の森の落ち葉の下でこっそりと暮らしています。

 

 

小笠原の山田さん、
じゃなく
川田さん、
じゃなく、
沢田さん

を、よろしくお願いします。

 

 

・サワダムシ Schizomus sawadai

 

担当:小山田


オガサワラセイボウという美しいハチ 〜35年ぶりの再発見〜

「セイボウ」という虫がいることはご存知でしょうか。カタカナからはどんな虫かは想像しづらいですが、漢字で書くと「青蜂」と書きます。その名のとおり青いハチで、強い金属光沢をもち、日本のハチ類でも特に美しいと言われています。日本にはおよそ40種類のセイボウ類が生息しており、そのうち小笠原諸島には3種が生息し、2種が固有種、1種が外来種と考えられています。
今回は、小笠原の固有種であり、環境省の絶滅危惧種(絶滅危惧IA類)に指定されている「オガサワラセイボウ」を紹介したいと思います。

オガサワラセイボウ(メス)(Mita et al., 2015)
オガサワラセイボウ(オス)(Mita et al., 2015)

※スケールは1mm

写真のとおり、小型ながら緑青色の金属光沢をもち、非常に美しい種類であることが分かります。詳しい生態については不明ですが、寄生性の種類であり、母バチが他のカリバチ類やハナバチ類へ卵を産み付けると考えられています。また、寄生される昆虫も小笠原固有種の可能性があり、「小笠原の生き物同士の繋がり合い」を考える上でもたいへん興味深い種類だと思います。

さて、ここからはブログのタイトルにある、約35年ぶりの再発見について触れていきます。
オガサワラセイボウは、1975年に父島の三日月山でメスが採集され、1984年に新種として発表されました。しかし、その後の発見例はなく、何らかの要因で絶滅した可能性が高いのでは?と考えられていました。幾つかの文献によると、「グリーンアノールによる捕食」や「外来樹の繁茂」が理由であると指摘されており、母バチがカリバチ類やハナバチ類へ卵を産み付ける時にアノールに食べられたり、外来樹の繁茂により宿主のカリバチ類やハナバチ類が本来の住処を失って減少し、それに伴ってオガサワラセイボウも姿を消したとも考えられます。

このように絶滅が危惧されていたオガサワラセイボウですが、2010年に兄島で実施された昆虫調査によって再発見されました。1975年の最初の発見以降、実に35年ぶりであり、絶滅したと考えられていたものが兄島に残っていたことが分かった瞬間でもありました。更に、2013年には今まで未知であったオスの個体も発見されています。

オガサワラセイボウが、父島との最短距離が僅か500mの兄島に残っていることの意味はとても大きく、父島で住みやすい環境が整えば、兄島瀬戸を飛び越えてやってくる…そんなこともあるかもしれません。

この記事は、三田敏治博士(九州大学)らによって発表された以下の論文内容および写真を引用し、執筆いたしました。

Mita, T., Watanabe, K. & Kishimoto, T. (2015). Occurrence of Chrysis boninensis Tsuneki (Hymenoptera: Chrysididae) in Anijima Island, the Ogasawara Islands, with description of the male. Japanese Journal of Systematic Entomology, 21: 191-194

永野


ひと夏の恋

咲き始めたシマクマタケランの上で口移しの栄養交換をするオガサワラアメイロアリ。この組み合わせに出会うと、母島の夏の到来を感じる。 オガサワラアメイロアリは各島の残存林に生息しており、この時期にはシマクマタケランによく集まる。花蜜のほか、この植物に吸い付くカイガラムシの甘露にも目がない様だ。腹に貯めた蜜をすぐに巣仲間に口移しで分け与える姿は社会の仕組みとは知りながらも、感心してしまう。

・オガサワラアメイロアリ Paratrechina ogasawaraensis

・シマクマタケラン Alpinia boninsimensis

2016年7月、母島。担当:森

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