MYマイマイ〜小笠原小学校でのマイマイ授業2019・後編〜

11月と12月に、小笠原小学校の1年生に向けてマイマイ授業を4回にわたり行いました。

第1回、第2回の授業では、マイマイという生き物について学習し、実際に身近にいるマイマイをつかまえました。

3回目の授業では、小笠原にしか住んでいない、固有のマイマイであるカタマイマイについて学習します。

 

小笠原世界遺産センター

 

固有のマイマイを飼育している世界遺産センターにみんなで移動します。まずはカタマイマイがどうやって遠い小笠原にやってきたのか、どうしていろいろな種類がいるのかを学習しました。ところどころ、今までの授業の内容でも触れた内容だったのですが、私が質問をするとみんなしっかり覚えてくれていて、正しく答えてくれました。

 

また、普段は入ることのできない保護増殖室の中では、飼育しているコハクアナカタマイマイに餌をあげました。よく耳を澄ませると、マイマイが餌を食べる音が聞こえます。にぎやかだった子供たちも静まり返り、真剣に音を聞いていました。

マイマイが餌を食べる音に耳を澄ませる生徒

4回目、最後の授業では、2回目の授業から飼育をしていたウスカワマイマイを元居た場所に返す、お別れ会を行いました。

今まで勉強に付き合ってくれたお礼を込めて、生徒たちが考えた方法でお見送りをします。枝と落ち葉で作ったマイマイハウスを建てて、マイマイの好きな野菜をハウスに入れてあげました。

マイマイハウス

ありがとう、ウスカワマイマイ。

4回の学習を通じて、初めはマイマイの苦手だった生徒もいましたが、最後にはみんながマイマイのことを好きになってくれました。

お別れ会

 

マイマイがきかっけとなって、ほかの生き物にも興味を持ってくれると嬉しいですね。

以上、全4回のマイマイ授業の内容をお届けしました。

 

伊藤


MYマイマイ〜小笠原小学校でのマイマイ授業2019・前編〜

11月と12月に、小笠原小学校の1年生に向けてマイマイ授業を4回にわたり行いました。

一年生のみんなにも、マイマイを知ってもらい、好きになってもらいたい、そんな思いで授業をさせていただきました。

 

1回目の授業では、マイマイの体やさまざまな種類について勉強しました。

 

質問に元気よく返事をする生徒たち

 

小笠原には長い年月をかけて独自に進化した固有のマイマイが数多く生息しています。しかし、残念ながら私たちの住んでいる父島では、外来生物などの影響によって現在ではほとんど見ることができなくなってしまいました。ですが、外来種のマイマイであれば街中でも簡単に見つけることができます。

授業では、外来種のオキナワウスカワマイマイにも協力してもらい、マイマイの体や歩き方や食べ物の話などをクイズで紹介しました。

クイズではみんな正解を連発、さすがに小笠原の子供たちはよく知っています。

 

2回目の授業では、小学校の中でマイマイを探しました。

1回目の授業で勉強した、マイマイの好きそうな場所を思い出しながら、みんな一生懸命探してくれました。

 

マイマイを探す生徒

 

つかまえたマイマイを育てるケースも準備します。マイマイに思い思いの名前を付けて、今日の授業は終了です。

今日つかまえたマイマイはこれから2週間、生徒たちがお世話をします。

マイマイたち、元気に育ってね

飼育ケースのようす

伊藤


小笠原のオカヤドカリ紹介

ペット大国である日本は、犬、猫、鳥のみならず、ゾウガメやカエルといった爬虫両生類や、はたまた昆虫類の飼育が浸透している国ですが、今回は人気のペットの1つ、オカヤドカリについてご紹介します。

 

ヒロベソカタマイマイの殻を背負うムラサキオカヤドカリCoenobita purpureus(天然記念物)。日本に生息するオカヤドカリ属は全て国の天然記念物である。

 

 

分類学上、オカヤドカリ属に含まれる種を総称してオカヤドカリと呼んでいます。小笠原諸島においては6種が確認されており、よく見かけるのはムラサキオカヤドカリ、ナキオカヤドカリの2種です。

 

ヤドカリといえば、普段は海の中に暮らしていてあまり陸地に上がる印象はありませんが、オカヤドカリは主として陸上生活を送り、小笠原や南西諸島などの生息地では陸地で人の目に触れる機会も多いのです。

 

南島で目にするオカヤドカリは、絶滅種かつ天然記念物でもあるヒロベソカタマイマイの殻を利用することが多いため、天然記念物が天然記念物の殻を背負うという(何となく)満足度の高い見た目となっています。

 

左上:兄島はカタマイマイ属の殻がひときわ多い。

左下:父島にて、アフリカマイマイの殻を背負った大型のムラサキオカヤドカリ。

右上:時には人工物も利用する。

右下:交尾前ガードを行うオス個体。

 

 

夏の夜、メス個体は腹部に抱えた幼生を海に放出します。その際、交尾相手を探すオスも入り交じり、すさまじい集団となります。

 

繁殖期は昼間でも浜に集合していることがある。

 

 

そして放出された幼生は幼生期を海で過ごし、ゾエア→グラウコトエという段階を経て稚ヤドカリになり、再び陸に上陸するのです。

 

写真右:海中を漂うオカヤドカリ属の幼生(グラウコトエ)。

 

そういえば、冒頭で「人気のペット」と紹介しましたが、天然記念物であるオカヤドカリを捕獲しようものなら文化財保護法に抵触してしまいます。

 

一般に販売されているオカヤドカリは、特定の業者が国の許可を受けて捕獲しているものですので、ご安心ください…。

 

担当:小山田


Let’s Share! MaiMai World〜マイマイたちと楽しい思い出を作ろう!〜

かつて父島の野外では、固有のカタツムリ(マイマイ)が至る所で普通に見られていましたが、外来のネズミ類やプラナリア類によって、その数は一気に減少してしまいました。

現在の対策方法では、野外の環境で守り続けていくことが困難なので、生息域外保全(本来の生息地から安全な施設等に移して保護すること)という手法を用いて彼らを守っています。平たく言うと、「飼育室で育てて、次世代を残し、絶滅を避ける」というものです。

私たちも微力ながら、そのお手伝いをしています。

 

そんなこんなで現在、小笠原世界遺産センターでは数千個体ものマイマイたちが飼育されています。いずれも、とても大事に飼育しているため、普段はなかなかその姿を見ることはできません…。

 

そこで!

 

いつもは表に出てこないマイマイたちをもっと知る、もっと身近に感じる!

そんなイベントが今年も開催されます!

 

詳細はこちら↓↓↓

 

皆さまのご来館、お待ちしております!

 

担当:芦澤


忍法・影分身の術 其の一

皆さんはここ小笠原諸島に世にも奇妙なヤモリが生息していることをご存じでしょうか、、、?

これはオガサワラヤモリLepidodactylus lugubrisという種で、ヤモリ類としては小型(体長70〜80mm)で、昆虫や花の花粉などを食べます。

小笠原では人家の壁や森林、海岸と様々な場所で見つけることができます。

一見目立った特徴のないフツーのヤモリに見えますよね。

 

しかし、このオガサワラヤモリは全ての個体がメスで、かつクローンという大変不思議な生物です!!

 

つまりメスが交尾なしに卵を産み、そこから母親と遺伝的に全く同じクローンが生まれるわけです。

 

キリスト教の新約聖書によると、イエス・キリストは聖母マリアから処女懐胎によって誕生したと言い伝えられていますが、オガサワラヤモリはまさに同じことを当たり前のようにやってのけているわけです。

 

こういった繁殖様式のことを「単為生殖」(⇔両性生殖)と呼びます。

さて、このオガサワラヤモリは小笠原の名を冠してはいますが固有種でもなんでもなく、実は太平洋インド洋の島々を中心に広く分布しています!

物資などに紛れて人間によって運ばれたとも考えられますが、そういった記録のない地域や無人島にも分布を拡大させていることから、自然分散(流木に乗って流れ着いた、鳥によって運ばれた、など)によって拡がったとも言われています。

なぜこんなにも分布を拡げられたのか、、、?その秘密はやはり単為生殖にあると考えられています。

 

下の絵のように、一般的な両性生殖種が他の島や大陸に分布を拡げるには、多くの確率の低い行程が不可欠で、しかもそれらが何度も起こる必要があります。

いかに奇跡的な確率かおわかりいただけるかと思います。

 

一方で単為生殖種の場合は、子孫を残すのにオスも交尾も必要ないため、以下の行程だけでいいのです。

よって分布を拡げられる確率が両性生殖種に比べて格段に高いのです。

これはとんでもないアドバンテージです。

 

海洋島である小笠原諸島でオガサワラヤモリがたくさん見られるのもそのためなのでしょう。

 

他にも、オガサワラヤモリについて色々な興味深い事実が明らかになっています。

それらの紹介はまたの機会に!

 

担当:村上

 

参考文献

MURAKAMI, Y., SUGAWARA, H., TAKAHASHI, H., AND HAYASHI, F. 2015. Population genetic structure and distribution patterns of sexual and asexual gecko species in the Ogasawara Islands. Ecological Research 30: 471–478.

RADTKEY, R. R., DONNELLAN, S. C., FISHER, R. N., MORITZ, C., HANLEY, K. A., AND CASE, T. J. 1995. When species collide: the origin and spread of an asexual species of gecko. Proceedings of the Royal Society of London B 259: 145–152.

YAMASHIRO, S., TODA, M., AND OTA, H. 2000. Clonal composition of the parthenogenetic gecko, Lepidodactylus lugubris, at the northernmost extremity of its range. Zoological Science 17: 1013–1020.

 



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