小笠原の酉と言えば part

以前本ブログで酉年に合わせてアカガシラカラスバトを紹介させていただきました。今回、酉年はとうに過ぎていますが、せっかくなので小笠原の固有鳥類であるメグロ Apalopteron familiare を紹介したいと思います。

 

メグロ Apalopteron familiare

 

この鳥は、現在では小笠原諸島母島列島にのみ生息が確認されている日本固有種で、スズメ目メジロ科メグロ属に分類される鳥類です。この種の分類については紆余曲折有り、かつてはヒヨドリ科、チメドリ科、英名「Bonin honeyeater」からも察せられるミツスイ科等に分類されていましたが、近年のDNA解析からメジロ科(最近縁種はマリアナ諸島のオウゴンメジロ Cleptornis marchei)に分類されることとなりました。まさに白黒はっきりついたわけですね!なお、1977年には特別天然記念物に、1993年には国内希少野生動植物種に指定されています。

 

さて、この鳥、母島に行けば割と苦労せず確認出来るのですが、現在は小笠原諸島のうち、母島・向島・妹島の3島でしか確認できません。戦前では聟島列島でも亜種が確認されていたようです。

はて、では間に位置する父島は…?

 

どうやら、存在していたらしいのです!

時をさかのぼること約200年、1828年に本種の記載者ハインリヒ・フォン・キットリッツ(Heinrich von Kittlitz)が父島で確認したことを示す文献が残っていたようです。残念ながら、その後何かしらの要因で絶滅してしまい、今となっては父島で見ることはかなわなくなってしまいました…。

 

また、この鳥のもう一つの面白い点が、島間での移動をほとんど行わないということです。

現在確認できている母島・向島・妹島のメグロの遺伝子や形態を比較したところ、各島ごとにDNA構成に大きな違いが見られ、一部ではくちばしの形が異なっているなど、形態的な違いも確認されているようです。まさに日本における“ダーウィンフィンチ”ですね。

 

現在はコロナ禍でもあり容易に訪れることはできませんが、いずれ事態が終息した暁には母島を訪ね、ぜひ彼らを観察してみてください。ちょこまかと動く姿はなかなかに愛らしいですよ。

 

ガードケーブルに乗るメグロ

 

担当:芦澤

 

参考文献

シュプリンガー マークS.,樋口 広芳,上田 恵介,ミントン ジェイソン,シブレイ チャールズG.1995.メグロがメジロ類の1種であることを示す分子生物学的証拠.山階鳥類研究所研究報告 27(2):66-77

鈴木 惟司,森岡 弘之.2005.小笠原諸島父島におけるメグロの分布と絶滅.山階鳥類学雑誌37(1):45-49

Kazuto KAWAKAMI,Sachiko HARADA,Tadashi SUZUKI and Hiroyoshi HIGUCHI.2008. Genetic and morphological differences among populations of the Bonin Islands White-eye in Japan.Zoological Science 25.



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