決死の大移動

父島では夜間の路上でしばしば生き物に出会うことがあります。

世界各地でみられるクマネズミや特定外来生物のオオヒキガエルなど、外来種がその多くを占め、車に轢かれて煎餅のようになっている姿がよくみられます。

6月頃にはシロアリが大量発生するため、夢中になって食べているときに轢かれてしまうこともあるようです。

 

オオヒキガエル(Rhinella marina)     クマネズミ(Rattus rattus)

煎餅になったオオヒキガエル。哀愁を感じる

 

3月頃になると、ひときわ大きい影を見かけます。

オガサワラモクズガニ Eriocheir ogasawaraensis

 

オガサワラモクズガニです。

本土に生息するいわゆる「モクズガニ」とは形態的に異なることがわかり、2006年に新種記載された小笠原の固有種(環境省レッドリスト絶滅危惧粁燹VU))で、遺伝的にも違いがあるようです。

なぜ彼らが死のリスクを冒してまで移動するのか、その理由は繁殖のためです。

モクズガニは主に河川の淡水域に生息していますが、卵から孵化した幼生は海域でなければ生きていけません。したがって、繁殖をする個体は河川を下る必要があるのです。

海域である程度まで成長した個体は河川を遡上し、成体になるまで淡水域で暮らします。

 

オスとメスで腹部(ふんどし)の形態が異なる。

白いオガサワラモクズガニ。色素異常だろうか。

 

一度繁殖に参加した個体は二度と河川に戻ることなく、その一生を終えます。

決死の大移動、オガサワラモクズガニを見かけても食べたりせず、見守ってあげてください。

 

 

担当:小山田



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