小笠原の熱きガタボーイ&ガタガール

 

先日の小笠原出張で気になる生物がいたので、ご紹介します。

皆さんは、シオマネキという生き物をご存じでしょうか?

潮の満ち引きで海に沈んだり地面が見えたりする『干潟』と呼ばれるところに生息しているカニで、オスのハサミは片方だけとても大きくなるのが特徴です。

ー写真1 オガサワラベニシオマネキParaleptuca boninensis

環境省版海洋生物レッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に選定されている

 

そんなシオマネキの仲間が小笠原にも生息していて、その名も『オガサワラベニシオマネキ』といいます。

小笠原諸島の父島にのみ生息している固有種のカニです。

 

ー写真2 オガサワラベニシオマネキParaleptuca boninensisのオス(左) とメス(右)

 

南西諸島に生息しているよく似た種類の『ベニシオマネキ』は鮮やかな紅色の甲羅とハサミを持つ個体が多いのですが、オガサワラベニシオマネキはどうにも「ベニ」って感じではなく、砂地に紛れる色や模様の個体が多いような気がします。

ハサミもそこまで赤くないので、よく見ないとカニがいることに気がつかないかもしれません。

 

人が近づくと一斉に干潟に掘られた巣穴の中に隠れてしまうのですが、こちらが動かずじっとしていると、巣穴の中から様子を見つつそろそろと出てきて、せわしなくエサを食べたり、大きなハサミを振り上げる『ウェービング』をしたりします。

 

暑いなか干潟に座ってオガサワラベニシオマネキを観察していると、ちょっと変な個体がいました。

 

ー写真3 両腕が肥大化したオガサワラベニシオマネキ。かっこいい。

 

なんと、両方のハサミが大きくなっています。

ふつうシオマネキのオスは、片方のハサミだけが大きくなるのですが、この個体は両方が大きくなりつつありますね。

 

シオマネキのオスはふだん小さい方のハサミで泥をつまみ、泥の中に含まれる小さなエサを食べますが、この個体は不便そうに大きいハサミで泥を口にかき込んだり、口を直接地面につけて食事をしていました。

大きなハサミを両腕に装備してとてもカッコイイのですが、生活するには不便みたいですね。

 

どうしても気になったので翌日の空き時間も観察に行ってみたのですが、残念ながら見つかりませんでした…不便なハサミだと生き残るのも難しいのかもしれません。

彼がこのまま大きくなったら、どんな姿になるのでしょうか?

 

 

猿田



プロフィール

最近の記事

記事区分

過去の記事

リンク

others

自然研小笠原ブログに掲載される記事や写真等の著作権は、(一財)自然環境研究センターまたは撮影者に帰属します。