アノール探索の新兵器

アノール探索の新兵器

 

ドローンに続きアノール探索の新兵器がやってきました!

 

Goproの外観(5cm四方程度のコンパクトな大きさ)

 

最近、主にスキーやダイビング等のレジャーで一般の人も使い始めている、小型カメラのGoproです。

小笠原でも手にしている人を見かける事があるのではないでしょうか?

 

空を飛ぶドローンからは、樹冠のアノールしか探索ができませんが、このカメラを調査員が携行して現地を歩けば、林内のアノール発見にも役立てられるのではないかという発想です。

 

実際に野外で撮影すると・・・こんな感じです。

 

Goproで撮影したアノール(赤丸内)

 

まだ、アノールを探しに行って、見つけた場所がどのように映るのかを試験的に撮影している状態ですが、アノールが映っているのが分かりますか?

 

Goproは通常・広角・super viewの3つの画角が選べ、右にいくほど広い範囲の撮影が可能です。画角が広いほど広範囲のアノールを探すことができますが、あまり広すぎると画質が低くなって画像でのアノールの判別が難しくなるので、程よい画角がどの辺なのかなど、現在試行錯誤の段階です。

また、小型のためヘルメットに装着して撮影ができます。100g程度ですが、実際に装着して歩くと結構首が疲れました・・。とはいえ、過酷な環境の兄島で手を塞がずに撮影できるというのはかなりの利点です。

 

5月に新入りとして迎えたばかりなので、まだまだ試行中ですが、いずれは他の調査の調査員に装着してもらい、アノール探索を兼ねる事ができればなぁと考えています。

 

 

おまけ

環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に選定されているルリカメムシ(Plautia cyanoviridis

 

アノールの撮影テスト中にルリカメムシを発見しました(指をさしている場所)。

他の場所では、交尾中のルリカメムシにも出会う事が出来ました。

父島でも見られるので、小笠原に来た際にはこの鮮やかな緑のカメムシを探してみてください。

(ルリカメムシの発生時期は6月〜7月頃です)

 

 

秋元


アノール探索の新兵器

 

「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」

 

どこからともなく音が聞こえてきます。

ハエでしょうか?クマバチでしょうか。

 

いいえ、ドローンです!!

 

何故ドローンが?誰かが自撮りしてる??

 

いえいえ、違うんです。昨年の秋、兄島に生息するグリーンアノール を探索するため、なんとドローン空撮部隊(隊員2名)が結成されたのです!

今回は、そんな初々しい部隊員によるドローン空撮でのアノール探索の現状について紹介します。

―写真1 兄島から飛び立つドローン(使用機種:Mavic pro)

 

これまで兄島では、粘着トラップを使ってアノールの捕獲と探索を行ってきました。

しかし、急峻な地形が多い兄島では、人が歩いていくことができず、アノールがいるのかどうかすら分からない場所も多く存在しています。

そこで活躍するのが、無人航空機“ドローン”というわけなのです!

 

ドローン空撮と聞くと、自撮りや上空からの風景撮影など、「手軽に高精度の撮影を楽しむもの」を想像されることかと思いますが、対アノールはそんなに甘くはありません。かなーり低空、植物の真上ギリギリを飛行させるんです。(操作を間違えるとあわや墜落…)

―写真2 樹冠センサス中の様子

 

さて、いざ撮ってみてどうだったかというと…。

 

 

 

思っていたほど映っていませんでした。。

 

まだ兄島ではアノールの密度が低いという現れなのかどうなのか。喜ばしい反面、めぼしい動物が何も映っていない動画をずっと見続けるのはかなり辛いです(苦笑)。

 

以下に、見つかった動物たちをご紹介します。アノールの他にも映りたがりな生き物が…?

 

グリーンアノール Anolis carolinensis

オガサワラトカゲ Cryptoblepharus nigropunctatus(固有種)

オガサワラゼミ Meimuna boninensis(固有種/天然記念物)

シマアカネ Boninthemis insularis(固有種/天然記念物)

 

ドローンを使ったアノール探索、まだまだトライ&エラーを繰り返している真っ最中ですが、使える技術として確立できるよう今後もドローン部隊、出動してまいります!

 

※航空法を遵守し、周辺に人および鳥類等がいないことを確認して、安全に十分に配慮した上で飛行しています。

 

担当:芦澤


グリーンアノールと虫の供養祭

2013年度から兄島で進めてきたアノール駆除で犠牲となった数多くのアノール、そしてオガサワラトカゲ、ヤモリ、小鳥類、昆虫たちの魂を鎮めるため、また作業員の安全を祈願して、3月12日(日)に大神山神社で供養祭を開催しました。2013年度から毎年1回、今年で4回目の開催となりました。
駆除を続けてきたことで、いま兄島ではアノールの姿を直接目にすることはほとんどありません。また、兄島の昆虫は減っていないようで、島の昆虫を守ることができているようです。
しかし、この取り組みにより、これまで多くのアノールを殺めてしまっています。人間によってこの地に運ばれて、生きるために虫を食べているだけなのに。また、捕獲用の粘着トラップはオガサワラトカゲなどの他の動物も巻き添えにします。大好きな生き物を守るためとはいえ、生き物の命を犠牲にすることにとても心が痛くなります。
供養祭では、犠牲になった命を鎮めるとともに、参加している一人ひとりが犠牲を少しでも早くなくすことを心に誓っています。
調査の結果から、犠牲を払ってでもアノールを減らすことができれば島の昆虫やオガサワラトカゲが回復することが分かってきました。その一方で、混獲を減らすためにトラップを開発するなど改善する努力も続けています。
小笠原の昆虫が豊富に生き残った兄島を守り、いつかは父島や母島にも島の昆虫が戻って来る日を目指して、この日誓った気持ちを忘れずに次の1年の活動に取り組んでいきます。

 

芦澤


グリーンアノールに捕らえられたオガサワラタマムシ

2012年6月27日母島堺ヶ岳にて、オガサワラタマムシが頭から丸のみにされている場面を目にしました。
 

目撃時の状況(永野裕 撮影)

 

咥えなおす行動で頭部と胸部が分離した状態(永野裕 撮影)

これまで大きくて堅い体を持つオガサワラタマムシは、アノールでも食べることは出来ないと言われていたので、とても驚きました。

大きな昆虫の羽音が聞こえた直後にこの状況を見たので、もしかするとアノールは、タマムシが飛んで来るのを待っていたのではないか?とも思いました。このような目撃事例は初めてですが、もしかすると人目に触れないところで度々起こっていることなのかもしれません。

アノールが小笠原の固有昆虫を食べている衝撃的とも言える写真ですが、当のアノールも、人間によって本来の生息地ではない場所に連れてこられたという経緯があります。外来種対策として、まずは侵入させないことが大事であると考えさせられた場面でした。

永野

参考文献
永野裕・児嶋翼・岸本年郎 Sayabane, new series, (24) 35 2016年12月


5年ぶりの母島

5月30日、自然研小笠原事務所の北浦と一緒に父島から母島に渡りました。2011年5月に久保田研究本部長とともに初めて訪れて以来、5年ぶりの訪問です。

今回の訪問の目的は、自然研が環境省の委託を受けて実施しているグリーンアノール対策業務などの現場視察です。また、小笠原の島々の多様性のごく一端とはいえ、父島以外の島を歩くことも楽しみにしていました。

現場で頑張っている環境省母島詰所の児嶋さんに挨拶した後、新夕日ケ丘のアノール防除柵の視察に向かいました。
新夕日ケ丘は2011年にも最初に訪れた場所で、グリーンアノールが葉の上などに何匹も見られショックを受けたことをよく覚えています。防除柵は昨年度末に補強され二重構造になり、柵内には約5,000個もアノールトラップが設置され、その点検をフローラのスタッフが行っているとのことでした。柵内に植樹されたオガサワラシジミの食樹であるオオバシマムラサキが生長していましたが、残念ながらオガサワラシジミの姿を見ることはできませんでした。

5年ぶりの母島はあいにくの雨でしたが、私にとっては現場の状況に直接触れることができ大変有意義な時間でした。

大塚


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