今年の6月、当センターでは環境省事業「小笠原地域自然再生事業陸産貝類域外保全調査業務」として母島のカタツムリ調査を行いました。という記事を書こうと思いながら、調査一段落とともに自転車で転び骨折などしてしまったお陰でupが遅くなりました。。
例年、5〜6月は家中にキノコが生えそうな湿度に苦しめられる小笠原ですが(皮製品は気を抜いているとカビの温床になる)、今年の6月は驚くべき涼しさ!快適さ!カタツムリの好む薄暗い林内でも、流れる汗は爽やかそのもの。この時は、骨折するなんて思いもせず日頃の行いがよいからか〜などと考えていました。
さて調査は、母島の北から南までカタツムリのいる森に行き、そこにいる種類と数を調べるというものです。2012年から行っており、その経年変化を見ることで、貴重なカタツムリ達が元気にしているか、捕食者などによる危機は訪れていないかチェックすることができます。
今回の調査、陸貝担当2年目の私にとっては初の母島調査。もちろん、仕事としては上記のデータ収集が目的ですが、私にはこっそり秘めた目的が・・・!
はい!みなさん、上の写真のどこにマイマイがいるかわかりますか?
ここです!ここ!
ちょっと定規で1.5〜2.5mmを見てみてください。・・・そのぐらいのサイズです。笑
その名はキビオカチグサ。
どちらも小笠原固有種で、右の種類はなんと母島でしか見られない。
マイマイがその殻をつくるために欠かせないカルシウム。その塊ともいうべき石灰岩のラピエに生息する小さな小さなカタツムリ。
普通、カタツムリって「角出せ、槍出せ、目玉だせ〜」の歌詞のごとく、ぬめぬめした身体から長い触角を出し、その先に黒い目がちょんと現れる姿を想像しますよね?
しかし、見てください!
この触角!この目!もう精一杯出てるんです!!笑
なんてキュートなんでしょう。。例えるならば、クマのぬいぐるみの耳のような、ハムスターのちょんと飛び出した尻尾のような、人が可愛い!と思うツボを押さえた触角なんですね。
「カタツムリ?え〜気持ち悪い〜」と思っているそこのあなた。知らないだけでカタツムリの世界は多様です。上のキビオカチグサ2種類も、殻の形がだいぶ違っていますね。小笠原では、島ごとに環境に合わせた進化を繰り返し、姿も生活も多様な多くの固有種がいます。
父島ではニューヤリガタリクウズムシというカタツムリを捕食するプラナリアによって、固有のカタツムリは人前から姿を消しました。人里にいるのは、繁殖力の強い外来種がほとんどです。
でも、母島では、山の上から人里近くまで、まだ多くの固有種が残っています。
父島からプラナリアを持ち込まないように、靴底の泥を海水やお酢で落としたら、いざカタツムリの楽園残る母島へ。
カタツムリの多様な世界の一端を覗きに行ってみてください。
※※母島のカタツムリ達も大切な生き物です。棲みかを荒らさないよう指定ルート上からマナーを守って見てみてね。
小笠原事務所 涌井