西之島、再々噴火

 

まさかの、再々噴火。

201311月に噴火した西之島は元の島をほとんど飲み込んで約10倍に成長。

いったん活動が収まったと思われ警戒も解除された2か月後の20174月、再噴火。

また活動が収まったと思われ警戒が縮小された3週間後のつい先日2018712日、再々噴火。

なかなかに予想を上回るアマノジャクな島ですね!

調査を企画する側としては、とても困った事態ですが、逆に感心してしまう部分も。専門家にも相談し噴火の継続期間に応じて5つものプランを用意したのに、それ以外の切り札を出されたのですから。

自然は思い通りにはならないのが面白い、ということを肌にしみて感じます。

イチからプランを練り直します。

 

そんな予想外の噴火の合間を縫うように調べられた西之島の最新の魅力を島の皆さんと共有できたら、との思いで講演会が開催されました。

 

島内に貼りだした西之島講演会のポスター

 

父島、母島合わせて60名ほどのご来場があり、講演ではドローン調査で得られた映像や調査結果の数々をご報告するとともに、今後の調査計画等をご紹介しました。

 

西之島の、島自体の拡大や変化とともに、そこに暮らす生き物たちは、どのように数や種類、関係性を変化させていくのでしょうか。

僕がおじいさんになるまでに何種類の虫が暮らし始めるのだろうか。島の子たちがおじいちゃんおばあちゃんになるころには森になっているのだろうか。

い目で、皆さんとともに島の大地と生態系の成長を見守りたいものです。

 

(森)


アノール探索の新兵器

アノール探索の新兵器

 

ドローンに続きアノール探索の新兵器がやってきました!

 

Goproの外観(5cm四方程度のコンパクトな大きさ)

 

最近、主にスキーやダイビング等のレジャーで一般の人も使い始めている、小型カメラのGoproです。

小笠原でも手にしている人を見かける事があるのではないでしょうか?

 

空を飛ぶドローンからは、樹冠のアノールしか探索ができませんが、このカメラを調査員が携行して現地を歩けば、林内のアノール発見にも役立てられるのではないかという発想です。

 

実際に野外で撮影すると・・・こんな感じです。

 

Goproで撮影したアノール(赤丸内)

 

まだ、アノールを探しに行って、見つけた場所がどのように映るのかを試験的に撮影している状態ですが、アノールが映っているのが分かりますか?

 

Goproは通常・広角・super viewの3つの画角が選べ、右にいくほど広い範囲の撮影が可能です。画角が広いほど広範囲のアノールを探すことができますが、あまり広すぎると画質が低くなって画像でのアノールの判別が難しくなるので、程よい画角がどの辺なのかなど、現在試行錯誤の段階です。

また、小型のためヘルメットに装着して撮影ができます。100g程度ですが、実際に装着して歩くと結構首が疲れました・・。とはいえ、過酷な環境の兄島で手を塞がずに撮影できるというのはかなりの利点です。

 

5月に新入りとして迎えたばかりなので、まだまだ試行中ですが、いずれは他の調査の調査員に装着してもらい、アノール探索を兼ねる事ができればなぁと考えています。

 

 

おまけ

環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に選定されているルリカメムシ(Plautia cyanoviridis

 

アノールの撮影テスト中にルリカメムシを発見しました(指をさしている場所)。

他の場所では、交尾中のルリカメムシにも出会う事が出来ました。

父島でも見られるので、小笠原に来た際にはこの鮮やかな緑のカメムシを探してみてください。

(ルリカメムシの発生時期は6月〜7月頃です)

 

 

秋元


小笠原の熱きガタボーイ&ガタガール

 

先日の小笠原出張で気になる生物がいたので、ご紹介します。

皆さんは、シオマネキという生き物をご存じでしょうか?

潮の満ち引きで海に沈んだり地面が見えたりする『干潟』と呼ばれるところに生息しているカニで、オスのハサミは片方だけとても大きくなるのが特徴です。

ー写真1 オガサワラベニシオマネキParaleptuca boninensis

環境省版海洋生物レッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に選定されている

 

そんなシオマネキの仲間が小笠原にも生息していて、その名も『オガサワラベニシオマネキ』といいます。

小笠原諸島の父島にのみ生息している固有種のカニです。

 

ー写真2 オガサワラベニシオマネキParaleptuca boninensisのオス(左) とメス(右)

 

南西諸島に生息しているよく似た種類の『ベニシオマネキ』は鮮やかな紅色の甲羅とハサミを持つ個体が多いのですが、オガサワラベニシオマネキはどうにも「ベニ」って感じではなく、砂地に紛れる色や模様の個体が多いような気がします。

ハサミもそこまで赤くないので、よく見ないとカニがいることに気がつかないかもしれません。

 

人が近づくと一斉に干潟に掘られた巣穴の中に隠れてしまうのですが、こちらが動かずじっとしていると、巣穴の中から様子を見つつそろそろと出てきて、せわしなくエサを食べたり、大きなハサミを振り上げる『ウェービング』をしたりします。

 

暑いなか干潟に座ってオガサワラベニシオマネキを観察していると、ちょっと変な個体がいました。

 

ー写真3 両腕が肥大化したオガサワラベニシオマネキ。かっこいい。

 

なんと、両方のハサミが大きくなっています。

ふつうシオマネキのオスは、片方のハサミだけが大きくなるのですが、この個体は両方が大きくなりつつありますね。

 

シオマネキのオスはふだん小さい方のハサミで泥をつまみ、泥の中に含まれる小さなエサを食べますが、この個体は不便そうに大きいハサミで泥を口にかき込んだり、口を直接地面につけて食事をしていました。

大きなハサミを両腕に装備してとてもカッコイイのですが、生活するには不便みたいですね。

 

どうしても気になったので翌日の空き時間も観察に行ってみたのですが、残念ながら見つかりませんでした…不便なハサミだと生き残るのも難しいのかもしれません。

彼がこのまま大きくなったら、どんな姿になるのでしょうか?

 

 

猿田


アノール探索の新兵器

 

「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」

 

どこからともなく音が聞こえてきます。

ハエでしょうか?クマバチでしょうか。

 

いいえ、ドローンです!!

 

何故ドローンが?誰かが自撮りしてる??

 

いえいえ、違うんです。昨年の秋、兄島に生息するグリーンアノール を探索するため、なんとドローン空撮部隊(隊員2名)が結成されたのです!

今回は、そんな初々しい部隊員によるドローン空撮でのアノール探索の現状について紹介します。

―写真1 兄島から飛び立つドローン(使用機種:Mavic pro)

 

これまで兄島では、粘着トラップを使ってアノールの捕獲と探索を行ってきました。

しかし、急峻な地形が多い兄島では、人が歩いていくことができず、アノールがいるのかどうかすら分からない場所も多く存在しています。

そこで活躍するのが、無人航空機“ドローン”というわけなのです!

 

ドローン空撮と聞くと、自撮りや上空からの風景撮影など、「手軽に高精度の撮影を楽しむもの」を想像されることかと思いますが、対アノールはそんなに甘くはありません。かなーり低空、植物の真上ギリギリを飛行させるんです。(操作を間違えるとあわや墜落…)

―写真2 樹冠センサス中の様子

 

さて、いざ撮ってみてどうだったかというと…。

 

 

 

思っていたほど映っていませんでした。。

 

まだ兄島ではアノールの密度が低いという現れなのかどうなのか。喜ばしい反面、めぼしい動物が何も映っていない動画をずっと見続けるのはかなり辛いです(苦笑)。

 

以下に、見つかった動物たちをご紹介します。アノールの他にも映りたがりな生き物が…?

 

グリーンアノール Anolis carolinensis

オガサワラトカゲ Cryptoblepharus nigropunctatus(固有種)

オガサワラゼミ Meimuna boninensis(固有種/天然記念物)

シマアカネ Boninthemis insularis(固有種/天然記念物)

 

ドローンを使ったアノール探索、まだまだトライ&エラーを繰り返している真っ最中ですが、使える技術として確立できるよう今後もドローン部隊、出動してまいります!

 

※航空法を遵守し、周辺に人および鳥類等がいないことを確認して、安全に十分に配慮した上で飛行しています。

 

担当:芦澤


小笠原寄席(2)「カラスとハト」

えー、毎度小笠原寄席においでいただき、ありがとうございます。さて、本日のお題は、「カラスとハト」についてということで、しばらくの辛抱をお願いいたします。
まあ、カラスとハトといえば、皆さんには大変なじみがある鳥だと思います。ハトが豆鉄砲を食らったような、とか、カラスが鳴くからかーえろ、などと日常でも、よく使われます。ところが、今回は、このカラスとハトがくっついちゃたというおはなしです。と申しましても、合体ロボみたいに、カラスとハトがくっついた訳ではありませんで、名前がくっついちゃったんですね。

「大家さんいますか」
「これは、源さん、お上がんなさい。どうしました、店賃でも払いにきましたか」
「冗談じゃない、どこを間違って、自分で店賃払いにくる店子がいます。それほど、あっしは馬鹿じゃない」
「何をいってるんだい、店子が店賃を納めるのは常識というもんだよ」
「そんな常識が通じるほど、この長屋は甘くないんで」
「やれやれ、いばられちゃしょうがないね。それでは、どんな用事なんだい」
「それなんですよ。ほら、ニュースを見ていたら、小笠原の島々では、昔に比べてカラスとハトが減ってしまったということですが、本当ですか」
「ああ、それは、カラスとハトではなく、カラスバトのことでしょう。小笠原諸島には、カラスバトの仲間で、アカガシラカラスバトという鳥が住んでいるんだが、絶滅するんじゃないかと心配されているんだ」
「へー、いったいそのカラスバトっていうのは、ハトなんですか、カラスなんですか」
「これは、カラスみたいに黒っぽくて大きなハトなんだが、まあ、カラスみたいなハトということで、カラスバトと呼んだんだな」
「へー、なんだかまぎらわしいね。ところで、なんでまた、そんなに数が減っちゃったんです。おいしそうなんで、焼き鳥にされちゃったんですか」
「まあ、人間が食べちゃった訳じゃないんだが、これには色々な原因があると言われているんだ。1つの大きな原因としては、そもそも小笠原諸島という離れ島に住んでいることがある」
「やっぱり寂しくって、世をはかなんだんですかね」
「そうじゃない。実は、アカガシラカラスバトというのは、カラスバトの亜種とされており、カラスバト自体は、四国や九州、沖縄などにも住んでいる。しかし、いくら空を飛べるといっても、かなり離れているので、それらの島の間を飛び回ることはあまりないんだ。特に、小笠原の島々は、大陸から遠くはなれているため、同じ仲間がやってくることがほとんどない。だから、大昔、たまたまやってきたカラスバトが、小笠原だけで繁殖を重ねるうちに、頭の部分が赤い特別なカラスバトになってしまっている。それで小笠原だけにいる固有亜種ということで、天然記念物にも指定され、アカガシラカラスバトという名前で呼ばれる様になったというわけだ」
「頭を赤く染めてるって、やっぱりヤンキーなんですかね」
「そうじゃないが、小さな島では、もともとその数が少ないために、遺伝的な変異が起こった場合に定着して広がる可能性が大きいんだ。これは、大きなプールに数滴赤い水を入れても、すぐに広がって薄まってしまうけど、小さなコップの中に入れた場合は、コップ全体が、すぐに赤くなってしまう現象と似ている。だから、小笠原にいるアカガシラカラスバトが絶滅してしまうと、他には住んでいないので、この世からいなくなってしまうことになる」
「なるほど」
「それに小笠原のような大陸から離れた小さな島に住んでいる生き物は、害敵や競争相手がいないので、のんびりしている。まあ、坊ちゃん育ちのどら息子みたいなもんだね」
「ははー。だから頭染めたんだね」
「ヤンキーにこだわるね。それが、人間が住む様になってから、ネズミや猫、ヤギなどのこれまで島にはいなかった生き物が入ってきた。のんびり育っているアカガシラカラスバトは、地上に巣を作り、地上で餌を探すことが多いんだが、これは、地上を歩き回る肉食動物がいないから暮らしていけたんだ」
「そりゃそうだ、田舎者がいきなり新宿4丁目の盛り場に放り出されたようなもんだものね」
「同じような例では、沖縄のヤンバルクイナやノグチゲラなどでも当てはまる。ヤンバルクイナは、空を飛べないし、ノグチゲラは、キツツキのくせに、地上で餌をとることが多いんだそうだ。これも、やはり肉食動物がほとんどいなかったからだと言われている。そこに、肉食者のマングースが入ってきたもんだから、大変なことになった。いまでは、マングース退治に膨大なお金と人手をかけている」
「へー」
「さらに、アカガシラカラスバトが、もともと餌をとっていた森も外来種の樹木にかわったり、ネズミに餌を奪われたりして餌も不足しがちなんだね。それに、ノネコに襲われたりしていたんだよね。しかし、最近では、ハトの住んでいるところにノヤギやノネコが入り込まないようにしたり、捕まえたりすることで、安心して餌をとれるようになり、かなり回復しつつあるそうだよ」
「へー、そいつは良かった。やっぱり、カラスバトだけに、いろいろクロウするんですね」
「いやー、ハトだけに、ピジョンが大事なんです」
お後がよろしいようで。

地上で餌をとることが多い、アカガシラカラスバト

 

挿絵・文:福山研二(自然環境研究センター客員研究員)



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